信州に移住してから新しく始めた野鳥観察。
天候が悪くて山に行けない時など、近くの公園にフラッと出かけられる手軽さが気に入っています。
妻は最近、山よりは鳥に傾倒していて、信州野鳥の会にも入会し、時折開催される探鳥会にも参加しています。
数年前、その探鳥会で「松本市内に大規模なタカの渡りが見られる場所がある」と教えられました。
なんでも全国有数のタカの渡りの見物スポットらしく、毎年全国から多くの人が訪れるそうです。
そこは白樺峠という峠で、乗鞍高原の近くとのこと。
松本市内にそんな注目スポットがあったとは・・・鳥を見出してからも全然知らなかったです。
それ以来、毎年この時期になるとタカの渡りを見物しに白樺峠に行っています。
暑い夏がようやく終わって、秋が始まる頃合い。今年もこの季節がやってまいりました。
待ち望んでいた季節の到来を楽しみつつ、遠く南方に旅立っていくタカの飛翔を、たくさん見届けることができました。
白樺峠の場所 アクセス注意です
白樺峠というのは、旧奈川村と乗鞍高原を結ぶ峠です。
乗鞍スーパー林道上にあり、本来は奈川からも乗鞍高原からもアクセス出来ます。
しかし、現在奈川から白樺峠への通行は出来ません(2020年9月現在)。
白樺峠へは、乗鞍高原からのアクセスのみとなっていますので、ご注意ください。
駐車場が心配・・・ならば自転車で
今回は4連休の中日。
それも久しぶりの晴れ予報で、多くのタカが渡るのが予想されます。
素人の私たちでさえ「今日は出るぞ!」とTHE DAYの予感に居ても立っても居られないのです。全国の猛者達がこんな好条件の日を放っておくわけがありません。
そうなってくると心配なのは駐車場。北アルプス並みの大混雑になるのは確実です。
峠には公衆トイレもあるので、「前日の夜に入って車中泊」という手もあるにはあるが、タカ見に関しては早起きの必要は無いので、どうも乗り気にならない。(飛び始めは結構遅いのです)
とはいえ朝9時頃着いたのでは車を停めるのに相当苦労しそう・・・
ということで、駐車場問題に悩んだ時はいつもの力業、「自転車で行けばいいジャン!」作戦発動です。
白樺峠までの道は大した事無かった
googlemapによると、乗鞍高原の一ノ瀬駐車場からは8kmくらいで白樺峠に到着するようです。
朝8時、流石に一ノ瀬の駐車場はガラガラです。
ついでに言うと、乗鞍バスが発着する観光センター前の駐車場は既に満車でした。
乗鞍岳にヒルクライムに来て、駐車場が混んでるのを敬遠する向きの方は、少し離れたこの一ノ瀬駐車場からスタートすると、落ち着いて準備できてイイと思います。
「さぞかしキツイ登りが待っているんだろう」と構えたわりには、本当にキツイのは序盤の1kmくらいであとはユル登り、最後の1kmくらいは降りだったりしてアッという間に着いてしまいました。マウンテンバイクでゆっくり登って45分くらい。ヒルクライムとしてはかなり物足りないと思うので、本気のヒルクライマーにはお勧めできませんね。
もっとも乗鞍高原まで来て、「乗鞍登らずにこっち」ってのもあまり無いか。
「うっひゃ~、ド~なってんのこれ?」白樺峠到着
いや~、やっぱり凄い混雑でしたよ。白樺峠の駐車場。
朝9時頃着いたのですが、峠周辺のありとあらゆるスペースが埋まってて、既に路駐多発。こりゃすれ違い大変だ。
当然、下の駐車場も満車です。
やっぱ自転車最高!車の列をすいすい抜けて、トレイル脇の茂みの中に駐輪させてもらいました。
次も自転車だね!
「タカ見の広場」まで
駐車場から「タカ見の広場」まで登るのですが、2つのルートがあります。
トイレの向かいから行くルートと、トイレから車道を少し登った池の前から登るルートです。
何度か来た印象では、トイレ前のルートは細いけど傾斜は一定で緩い、池の前のルートは広いけど出だしの傾斜が急という感じ。
時間的には15分くらいなので、どちらでも大差はないです。ただ、池の前のルートの出だしは結構急で、降りは少し神経を使うかも知れません。我々は最近はトイレ前のルートから登っています。
気持ちいい雑木林の小道を15分程で
後ろを振り返ると乗鞍岳が遠望できる展望地に着きます。今日は残念、既に雲を被ってます。
少し行くと案内標式があります。タカが出ていると、みんなのドヨメキが聞こえてきますよ。
早く行こうよ~
こんなに詳細な広場の案内図もありますよ。
そんなのいいから早く~
人出のわりにはイイ所に陣取れたかな
「タカ見の広場」には9時半頃到着。
広場に着くといきなり目の前の眺望が開けて気持ちがいいです。
なかなかこんなに沢山の望遠レンズが並ぶ光景ってお目にかかれませんよね。
思った通り、広場は沢山の人で賑わっています。でも車の数から想像したほど、「人でギッシリ」というわけでも無さそう。
早速、今日の陣取る場所を選定にかかります。
去年は日向に陣取ったところ、暑くて閉口した記憶があるので、今回は日陰に陣取りました。
この広場、自然の傾斜をうまく利用してて、斜面の下に向かって観覧席のような形で刈り払いがされています。
タカを眺めるには下の方に陣取るのがイイのですが、こんな時間で空いていることは無いので、大人しく広場の上で落ち着きます。
こりゃあ今日はTHE DAYでしょ!次から次に現れるタカにウットリ
今日は今まで来たなかではダントツと言っていいくらい沢山のタカが渡っていきました。
到着した時から午後4時くらいまで、タカ柱も含め多くの渡りがありました。
我々の中ではまさにTHE DEY!
多少の波はあれど次から次へと広大な空に現れては優雅に滑空していきます。光の具合で、羽が光って見える瞬間もあり、神々しさすら感じてしまいます。
そんなタカを見る時、我々が主に使うのは双眼鏡です。
肉眼では小さな点にしか見えないタカですが、双眼鏡で見るだけで全然違う世界が広がります。
もし、白樺峠に初めて行くのでしたら、双眼鏡だけでも携行するのを強くお勧めします。
バードウォッチングにハマるきっかけになるかも知れませんよ。
これだけでも充分楽しいのですが、やはりこの瞬間を映像に撮っておきたいと思うのも人情というもの。
皆さんおそらく何十万円もするような超望遠レンズを構えております。
長大な望遠レンズの砲列に混じって、我々の武器はビクターのハンディカム。
あちらをバズーカーとするならこちらはピストルみたいなもん。
「創意工夫でどうこうなる」ものでも無いですが、ピストルはピストルなりになんとか映像に残しておくことができました。
まるで編隊を組んでいるよう・・・カッコイイ
タカ柱。上昇気流にのって何羽ものタカが渦を巻くように上昇していきます。
下から湧き上がるように次から次にこの渦に加わっていき、アッという間に大きな渦が形成されていきます。
近いところでこれをやられるとスペクタクル感MAXで、周りから感嘆のどよめきが必ず起こります。
妙な一体感のある、不思議な感動に広場全体が包まれます。
う~む・・・写真ではこの興奮の100分の1も伝えられませんね。実際はこんなんもんじゃありません。次から次へ視界に入ってきて、どのタカを見ようか目移りするほど。
今日はタカ柱、何回も出現しました。こんなに多くのタカ柱を見たのは初めて。
贅沢なもので、これだけ沢山見れると、少し遠くを飛ぶ個体には目もくれなくなったりします。
でもそんなことはこの日だけで、普段の探鳥に戻れば、1羽のタカに一喜一憂する日々に戻るのでした。
白樺峠でのタカの渡りを観測し続けているサイトによると、この日渡ったタカの観測数は1629羽。
去年のピーク、3400羽には及びませんが、1年で1,2を争うような「タカの渡りの当たり日」だったのは間違いなさそうです。
毎年物欲抑えるの大変だねっ
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